
働く女性も30代になる頃には、上司としての役職を与えられたりリーダーの役目を任されたりすることも多いではないでしょうか?
女性上司ならではの悩みあるある、部下や後輩の上手な育て方などを、具体的な例を挙げながら紹介していきます。
女上司としての悩みあるある
●「女上司」というだけで偏見や悪いイメージが
上司という立場上、みんなをまとめる必要があります。しかし、女性の職場にありがちなのが、お局による新人いじめや派閥、女性同士の噂話などです。
時に厳しい態度を見せようものなら、「女ってめんどくさい」「これだから女上司は…」などといった印象を受けやすいといった面があります。
●女性部下を叱って泣かれると一気に悪者扱い
女性部下の中には、時にしたたかな人間も存在します。あきらかに本人に非があって叱ったとしても、泣き落としで「私が悪いんです」アピールをしてくる女性は実に厄介です。
まんまと騙された男性社員に、「おい、いくら可愛いからって、若い子をいじめちゃダメだろう!」なんて言われると、一気に悪者扱いです。
●部下や若い後輩が仕事にやる気なし
とりあえず会社に来て適当に仕事しているだけ。パソコンとにらめっこしながら作業しているフリをしているだけ。
そんな人たちを見ているだけで、なんだかモヤモヤ&イライラしますよね。仕事に対する思いには、社員の数だけ温度差があります。
しかし、給料が発生している時点で、やるべきことはやるのは当たり前。それなのに、何度注意しても馬耳東風状態だと、怒りを通り越してやるせない思いがこみ上げてきます。
●叱る時には相手を傷つけないよう気を配る必要がある
例えば、厳しく言われてもそれをバネにして頑張れる人、ちょっと注意されただけで、自分のすべてを否定されたように捉えて、一気に自身を無くす人。
つまり、叱り方1つ取っても、相手次第でどっちに転ぶか分からない。そんな時代です。
事例を1つ挙げてみましょう。テレビでも紹介されていましたが、三重県南部自動車学校は「ほめちぎる教習所」として知られています。
教官は出社すると、機械に向かって笑顔のテスト。90点以上の判定が出なければ、タイムカードを押せないというしくみなのです。教習中もとにかく叱らず、教官は褒めて褒めて褒めまくる!
この方法を取り入れた理由は、
「最近は親にも叱られたことが無いような生徒さんもたくさん来るようになった。これまでのように、教官が厳しい言い方をしてしまうと、泣いてしまったり次の日から教習に来なくなったりしてしまうからです」
厳しくされてきた我々にとっては、なんとも複雑な思いに駆られるわけですが、そのかいあってか、教習生には大好評。「分からないところを分かるまで教えてくれた」「できるようになったことはたくさん褒めてくれたのが嬉しかった」と、喜びの声が多く寄せられています。
http://www.gashukumenkyo.com/ (参考サイト:ほめちぎる教習所)
●「女性では限界がある」と感じる瞬間
時に遭遇する、悪質なクレーマーやモンスタークライエント。相手がいかにも腕っぷしの強そうな男性だったりすると、高圧的な態度や醸し出される威圧感で、心理的に圧倒されてしまいます。
しかも、相手がしっかりとそれを感じ取って「どうせ女だ」となめてかかっている場合、どんどんつけあがって欲求もエスカレートします。
そんな時に男性上司などが助け舟に入ると、さっきまで偉そうだった相手の態度が一変んすることも。なんとか事が丸く収まると、ホッとする反面もどかしい気持ちになりますよね。
女性には女性の能力があり、女性だからできることもたくさんあります。しかし、「やっぱり、女では限界がある」と感じる瞬間は、自分が無力に思えてしまうのです。
●部下のミスやクレームで罪のないダメージを被る
部下や後輩がうっかりやらかしてくれたミスが、時にお客様へ多大なる被害をもたらすことも。
しかし責任を背負って謝罪をするのは、やらかした本人ではなく上司であることがほとんどです。
給与面や保障など、上司としての役職によって優遇される面がある一方、他人のミスをフォローしたりカバーしたり、時に責任を取ったりしなくてはならないというデメリットもあります。
割り切ってはいても、このようなシーンでは精神的ダメージは非常に大きいです。
部下や後輩に言ってはならない&やってはならないこと
●新人に「前にも言ったでしょ?」「何度言ったら分かるの?」
新人に仕事を教えることは、非常に神経を使う上に労力を要します。そんな中、何度も何度もやり方を聞いてくる新人に言ってしまいがちなのが「前にも言ったでしょ?」「何度言ったら分かるの?」という言葉です。
しかし考えてみて下さい。相手は新人なのです。初めての仕事を、1回でスッと覚えるのは非常に難しいのです。
それに、仕事を1日も早く覚えたくて、新人自身も非常に細かい神経を使っていることを忘れてはいけません。
相手からすれば、「分からないことは何でも聞いてって言ったくせに、いざ質問したら何で怒るの?」という思いなのです。
最も怖いのは、新人がビクビクするあまりに質問をしなくなり、思い込みで仕事を進めたことによって、取り返しのつかない事態や大損害を引き起こすパターンです。
これがいわゆる「だまりのことおこし」なのですが、新人が質問しやすい環境を作ってあげることも、上司の役目。
スピードに個人差はあれど、本人にやる気がある限りは成長します。
●「もういい、私がやるから」
相手に対する諦め。そして、「あなたには能力がない」というサインを投げることになります。
相手のやる気をそぐだけでなく、自己肯定感を奪います。それだけでなく、教えるという責任をも放棄することも意味します。
その結果、相手は「どうせ自分なんか」と自信を無くして仕事もモチベーションやパフォーマンスを低下させ、そのしわ寄せが上司であるあなたや他の社員に降りかかることも知っておきましょう。
「この人の能力では少し難しいかな」と感じたら、「私がやるから見てて。いずれあなたに任せる大切な仕事だから」と、しっかり相手を思って寄り添いましょう。
●説教の時間が長い
「分かるまでとことん言い聞かせてやる!」と思ってしまう気持ちも分からなくはありませんが、説教はできるだけ一瞬や短時間にとどめておくのがベター。
具体的には、「5分前には持ち場に戻って!」と、相手の行動を指摘すること。悪い例としては「いつまで休憩してるの?やる気ある?社会人なのに、そんな常識も知らないのね」などと、相手の人格までも否定する叱り方です。
長々と話しても頭に入らない理由として、人間の脳は聞きたくないことをシャットアウトする特徴があり、拒否反応が備わっているからです。
上司が長々と説教をしながら自分の思いを熱く語ってしまうのは、あなたの「私を分かって欲しい」というエゴに過ぎません。
その場合、部下や後輩は「この上司は説教が長い」→「とりあえず『はい、はい』『すみません』って我慢して、その場をしのげばいいや」と、学習している可能性もあります。
つまり、長く話した割には相手には届いていないというのが現実と言えるでしょう。
実際にあった事例を紹介します。
話の長い女上司に約30分にも及ぶ説教を受けていた新人社員(男性)。表情だけはいっちょ前に、彼は「はい…」「すみません」としか言いません。
それに苛立ってか、女上司は「はいはい言ってるけど、あなた私の言ってることちゃんと解ってる?」
新人「あ、はい…」
女上司「じゃあ、私が何を言ったか今から説明してみなさいよ」
新人「えっと…すみません、聞いていませんでした」
まわりも、この女上司にうんざりしていたので、このやりとりを見ながら笑いをこらえるのに必死の様子でした。
●「言い訳はやめなさい!」
何かを指摘するたびに、「すみません」の前にブツブツ言い訳をする部下や後輩。イラッとしてしまうのも無理もありません。
確かに、言い訳はするものではないし、社会では言い訳が通用しないのは当たり前。しかし、相手は自分が言い訳をしているという自覚がない場合もあります。
言い訳ではなく、理由を言っているつもりなのです。相手の言い分を断固してシャットアウトするのではなく、「気持ちは分かるから」と、いったんは受け止めることも大切です。
部下や後輩の上手な育て方10選
●自分の言葉に一貫性をもつ
自分の言った言葉に一貫性をもつというのは、一度言ったことを絶対に曲げないという意味ではありません。
「作業中は私語をしないで」と従業員に注意したのであれば、自分自身も私語をしない。「デスクまわりや書類は整理整頓して」といったのであれば、当然自分の身の回りは「これがお手本よ!」と言えるぐらいにきちんとしておくこと。
人にうるさく言うくせに自分はやらないという姿勢だと、部下や後輩からは「自分だってできてないじゃん」と反感を買うのがオチになります。
●相手の能力を見極める
誰にでも、得意分野や苦手分野はあります。相手の長所や能力に逸早く気づき、そこを伸ばしてあげることが上司の務めと言えるでしょう。
例えば、コミュニケーションが苦手で営業成績は悪くても、デザインや制作面では素晴らしいセンスを発揮する人。
仕事をすぐ覚える人もいれば、不器用でなかなかモノにできない人もいます。その場合は、「どうして覚えてくれないんだろう?」と頭を抱えるのも無理はありません。
しかし、原因を相手ばかりに求めるのではなく、「自分の教え方に問題があるのだろうか?」「他の人はこの方法で覚えてくれたけど、この新人には別の方法で教える方が良いのだろうか?」と、自分を振り返る良い機会でもあります。
要は、相手を育てつつ、自分自身も学ばせてもらっているわけです。
●自立を促し、自信をつけさせる
相手が生まれ育った環境はどうしようもないのですが、甘やかされて育ったり、過保護な親の元で成長したりといった背景のある従業員もいることでしょう。
そういった人は、自発性のない指示待ち人間であったり、自分で考えようとせず、すぐに誰かを頼ろうとしたりといった傾向が見られます。
その場合、ある程度の厳しさを持ち、時に突き放す必要も出てきます。「まずは分かるところまでやってみて」と本人にさせて、出来たところまでは褒める。
ミスを恐れて動こうとしない人には、まずその人のレベルに合わせた仕事を与えてみること。「失敗してもいいから」「時間がかかってもいいから」「責任は私が取るから」と、しっかり安心感を与えることです。
根気が必要になってきますが、人をきちんと育てられてこそ、1人前の上司です。日頃の小さな成長や変化を、見逃さないようにしましょう。
●新人の頃の失敗談をする
上司になってからもなお忘れてはならないのが、「自分も最初は新人だった」ということです。
「新人の頃は、私もこんな風に、先輩や上司に迷惑をかけていたんだろうな」と時々振り返ることで、出来の悪い部下や後輩の見方も変わってくるのではないでしょうか?
そこでおすすめなのは、新人時代の失敗談をすることです。成功談はただの自慢話にしか聞こえず、うんざりされますが、失敗談は相手の心をグンと引き付ける効果があります。
そうすることで良質な人間関係を築くことができ、話を聞いてくれやすくなります。その上、「上司も失敗を乗り越えて今のようになれたんだ」と相手にも伝わります。
「完璧な人間なんていません。私だって完璧ではないんだ。だからあなたも、完璧なんかじゃなくて良いんだよ」というメッセージは、ぜひとも伝えていただきたいものです。
●叱った後は褒め言葉や励ましで終える
筆者の父親は既に定年退職を迎えましたが、某大手企業で署長をしていた頃は、毎日口癖のようにぼやいていました。
「最近の若いのは、1つ叱ったら3つ褒めなきゃいけないんだ」と。私も上の立場を経験し、さらに2人の娘を持つ母親になった今だからこそ、腑に落ちることだと思います。
叱ったら、叱りっぱなしは絶対にダメです。必ず最後に「あなたは能力あるんだから頑張ってね」「一生懸命なのは分かってるから」と、良いところもちゃんと見てるよというサインを示すようにしましょう。
叱るだけ、悪い所を指摘するだけだと、まず相手はあなたに対して心を閉ざします。そして判断基準が「どうすれば叱られないか」「とりあえず叱られないように」になってしまいました。
●自分の価値観を押し付けない
「こうあるべき」「こうするべき」といった「べき論」を、相手に押し付けるのは間違っています。
相手には相手の事情があり、考え方があり、自由があります。あなたがいくら仕事に情熱を持ち、目標に向かって頑張っていても、相手もそうだとは限らないことを心得ておきましょう。
例えば、あなたが売り上げ第一に考えていたとしても(確かに大切なことではありますが)、相手は「私はお客様の笑顔や喜びが一番大事」と考えているかも知れません。
あなたが「会社の発展に貢献したい」と考える一方、部下や後輩は「パートやアルバイトとしてゆるく働きたい」と考えているかも知れません。
さまざまな人の考えをインストールし、柔軟性のある思考を持つことが大切です。そのためには普段からのコミュニケーションを、より意識してみましょう。
●女性社員の妊娠や育児に理解を示す
自分が結婚・妊娠・育児を経験しているならなおさらですが、たとえあなたが独身であっても、女性のライフスタイルには理解が必要。
むしろ、「上司が女性だからこそ分かってもらえる」という信頼感を持ってもらうのがベストです。
女性社員の妊娠による体調不良、幼稚園や保育園の行事による欠勤、子どもの急な発熱による早退。これらは本人の意志に関係なく、いわば仕方のないことです。
気持ちよく事情を受け入れて、「子どもさんの熱は良くなった?」などの声かけをするなど、できる限り気にかけてあげましょう。
●たとえ言い訳がましくても相手の言い分は最後まで聞く
先述の通り、大人の言い訳は聞き苦しく、こちらとしてはイラッとしてしまうのも無理はありません。
しかし、「ここは心理戦で勝負だ」と考えましょう。相手は言い訳ではなく、理由を言っているつもりです。
そして、叱られることや自分の欠点や弱点を指摘されて自信を無くすことが何よりもイヤなのです。そこで、まずは相手の言い訳に耳を傾けましょう。
まるで子供が「私は悪くないもん!」「だって〇〇なんだもん!」と主張しているようにも思われますが、それでもいったん最後まで聞き、受け止めたください。
「ああ、そうだったのね」「そう思ったのね」「まあ、あなたの気持ちも分かるよ」と、受容の姿勢を見せること。
すると相手は、自分を受け入れられたと感じて、その後の聞き分けが良くなることがあります。いったん受け止めたあとなら、「でも、そのやり方は間違っているよ」「でも、迷惑かけたことに変わりはないから謝罪はしましょう」という言葉も、案外素直に聞いてくれるものです。
言い訳をするような感情は、認めてあげると消えます。騙されたと思って、ぜひ試してみて下さい。
●部下や後輩の手柄や昇進などは自分のことのように喜ぶ
部下や後輩が結果を出した時や上司に褒められた時、「すごいじゃん!ついに私を超えたわね!」と、心から喜び、握手をすることはできますか?答えがYesであれば大したものです。
やはり上司でも人間ですから、嫉妬心や焦りの気持ちはどうしても湧いてしまいます。しかし考えてみれば、部下や後輩がそこまで成長したということは、あなたがしっかりと育て上げた証拠でもあり、本人もそれに応えようと努力した結果なのですから。
それでもモヤモヤしてしまったり、劣等感が刺激されたりするような感覚を覚えるようなら、まずは上司であるあなた自身が、自己肯定感を上げること。
そして、ありのままの自分を受け入れ、人と自分を比べず、「私は私」と心から腑に落とすことです。
●部下や後輩から憧れられる女上司になる
仕事が出来ることはもちろん大事だし、部下や後輩を育てることも大事です。そしてもう1つ忘れてはならないことは、部下や後輩から憧れられる女性になること。
職場に憧れの人や目標とする人が居ることで、従業員のやる気や仕事パフォーマンスにもつながります。
そのため、ファッションやメイクなどにも気を使い、身だしなみはきちんと整えるに越したことはありません。
女性らしさや笑顔を忘れず、「〇〇さんみたいになりたい」と言われるくらいに輝いていたいものです。
まとめ
部下を持つようになり、さらに指導する立場になることも増えていく30代。気持ちが引き締まる一方で、さまざまな悩みはつきものです。
それでも、出来る女というのは、何だかんだでカッコイイ存在でもあります。人を育てつつ、自分自身も成長しようと努力すること。
自身の新人だった頃を時に振り返っては、あの頃の気持ちをもう一度思い出すこともしてみて下さい。
ベテランになっても、初心忘れるべからずなのですから。
コメント